アトピー性皮膚炎

上野でアトピー性皮膚炎の治療を希望の方へ
 
 アトピー性皮膚炎でお悩みの方は本当に多いと普段の診療で実感しています。
 私はアレルギー疾患治療の総本山である相模原病院にも勤務していたことがありますが、当時はステロイド外用がやはり治療のメインでステロイド忌避の方もいたりととても苦労した記憶があります。近年アトピー性皮膚炎の治療は目覚ましい進歩を遂げ、劇的に効く薬も登場してきており以前よりだいぶ治療もしやすくなってきています。当院は在籍医師全員が皮膚科専門医の資格を持ったベテラン医師で、平日毎日19時30分まで、土曜も診療していますのでお気軽にご相談ください。

アトピー性皮膚炎とは

 アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者さんの多くはアトピー素因を持ちます。アトピー素因とは患者さんやその家族が気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれか、あるいは複数の疾患をもつまたはさまざまな物質に対して抗体を作りやすい体質といえます。
 アトピー性皮膚炎は、乾燥し皮膚のバリア機能が低下し、炎症を起こしやすくなっている皮膚に、汗、ほこり、摩擦などの外からの刺激が加わって起こります。最近ではフィラグリン遺伝子の異常が指摘され皮膚のバリア機能の低下が指摘されています。
 有症率としては報告によってかなりばらつきがありますが、小児で10~13%、20歳代で約10%、30歳代で約8%、40歳代で約4%と年齢とともに減少していく傾向があります。
 日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024の診断基準ですが
 
 1 瘙痒(かゆいこと)
 2 特徴的皮疹と分布
   ・皮疹は湿疹病変
   急性病変:紅斑(赤い斑点)、湿潤性紅斑(じくじくした赤い斑点)、丘疹(ぶつぶつ)、
   漿液性丘疹、鱗屑(かさかさ)、痂皮(かさぶた)
   
   慢性病変:浸潤性紅斑・苔癬化病変(皮膚がかたくなり厚くなる)、痒疹、鱗屑、痂皮
   ・分布(左右対側性)
    好発部位:前額、眼囲、口周囲・口唇、耳介周囲、頸部、四肢関節部、体幹
     乳児期:頭、顔にはじまりしばしば体幹、四肢に下降
     幼小児期:頚部、四肢関節部の病変
     思春期・成人期:上半身(頭、首、胸、背)に皮疹が強い傾向
 3 慢性、反復性経過(しばしば新旧の皮疹が混在)
   乳児では2か月以上、1歳以上では6か月以上を慢性とする。
1,2,3の項目を満たす時アトピー性皮膚炎と診断します。除外すべき診断(合併することはある)として、接触皮膚炎、手湿疹、脂漏性皮膚炎、皮膚リンパ腫、単純性痒疹、乾癬、疥癬、免疫不全による疾患、汗疹、膠原病(SLE、皮膚筋炎)、魚鱗癬、ネザートン症候群、皮脂欠乏性湿疹があげられており、特に非典型例の場合は皮膚科専門医への受診をお勧めします。
 また診断の参考になる血液検査所見として血清総IgE値、血中好酸球数、特異的IgE抗体価、血清TARC値などが挙げられます。

アトピー性皮膚炎の治療の目標

治療の最終目標は症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することです。また、このレベルに到達しない場合でも、症状が軽微ないし軽度で、日常生活に支障をきたすような急な悪化が起こらない状態を維持することを目標とします。

治療方法は
①薬物療法
②皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア
③悪化因子の検索と対策
の3点が基本になります。

アトピー性皮膚炎の原因、悪化因子とその対策

 原因、悪化因子として食べ物、発汗、物理的刺激(衣類、大気の乾燥、毛髪、化粧品)、環境因子(ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛など)、細菌・真菌(かび)、接触抗原(外用薬など)、ストレス、掻破(かきむしること)など多岐にわたります。VIEWアレルギー39というダニ、ハウスダスト、各種食物など39種類のアレルゲンを一度に調べることができる検査があるので1度調べてみることをお勧めします。
 乳児アトピー性皮膚炎は特に食物アレルギーを伴っていることがあるので、必要あれば検査をし、原因食物を除去します。発汗についてはシャワーなどで洗い流すことが症状の改善につながります。物理的刺激に関しては、刺激の少ない衣服を着用し、冬は加湿器を使用して室内の湿度を40~50%に保つとともに、保湿剤を使用します。化粧品ではクレンジング製品が問題となることがあります。
 当院では敏感肌用化粧品として常盤薬品工業株式会社のNOVシリーズをおすすめしています。
 環境因子(ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛など)に関しては
花粉対策→花粉症
 湿気をためないように換気(湿度70%以下)、窓サッシの結露をふき取る、クロス張りの壁、ソファを避ける、空気清浄機の設置、防ダニカバーの装着、干した後は掃除機がけ、カーペット、畳を避ける、ホコリの舞い上がりやすいフローリングなどでは、室内アレルゲンが床に落ち着く朝のうちに、濡れ拭き掃除の後に掃除機をかける(1㎡あたり20秒以上でゆっくりと掃除機がけ)、ペットは飼わないなどに気を付けます。
 細菌・真菌(かび)に関しては感染症状がなければ入浴、シャワーなどにより皮膚を清潔に保つことを基本とします。
 外用薬などによるアレルギー性接触皮膚炎が疑われた場合はパッチテストで原因物質を明らかにし、中止します。
 規則正しい生活をおくり、暴食、暴飲を避けストレスをためないことも大切です。
 皮膚の乾燥や軽微な物理的刺激が掻破につながるため、保湿剤や皮膚の被覆による刺激からの保護が有用です。
 アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能と保湿因子の低下により、外来抗原が侵入しやすくなり、経皮感作が起こると考えられています。多くの場合皮膚が乾燥し、特徴的なドライスキンとなります。そのためスキンケアとしてシャワーや入浴などによる皮膚の洗浄、保湿剤の塗布が大切です。
実際には以下のことが大切です。
 毎日の入浴、シャワー
 ・石鹸、シャンプーを泡立てネットなどを使いよく泡立てます
 ・素手で優しく洗います
 ・泡が残らないように、ぬるま湯でよくすすぎます
 ・お湯の温度は38~40℃が適温
 ・石鹸、シャンプーを使用する時は洗浄力の強いものは避けます
 ・入浴後にほてりを感じさせる沐浴剤、入浴剤は避けてください
 保湿
 ・入浴後に保湿します
 ・患者さんの肌状態にあった白色ワセリンやヘパリン類似物質含有の保湿剤などを
  外用します
 ・保湿剤は1日1~3回程度外用します
 ・保湿剤を塗る前に手をよく洗ってください
 ・塗る量の目安ですが、軟膏、クリームは人差し指の先から第一関節までの量で、ロー
  ションは1円玉大の大きさでおよそ成人の手のひら2枚分の面積に塗れます。
 ・春・夏は、さっぱりしたローションが、乾燥する秋・冬は、油分を多く含んだ軟膏や
  クリームがいいです。
 その他
 ・室内を清潔にし、適温、適湿を保ちます
 ・新しい肌着は使用前に水洗いします
 ・洗剤はできれば界面活性剤の含有量の少ないものを使用し、十分にすすぎます。
 ・爪を短く切り、なるべくかかないようにします(手袋や包帯による保護が有用なことが
  あります)
保湿剤の種類
A 皮表の保湿を主としたもの
ヘパリン類似物質含有製剤
ヒルドイドクリーム、ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドローション、ヒルドイドフォーム
尿素製剤
ケラチナミンコーワクリーム、パスタロンソフト軟膏、パスタロンクリーム、パスタロンローション、ウレパールクリーム、ウレパールローション
B 皮表の保護を主としたもの
白色ワセリン
プロペト(精製ワセリン)
亜鉛華軟膏
亜鉛華軟膏、亜鉛華単軟膏、サトウザルべ軟膏
その他
アズノール軟膏

最近では角質細胞間脂質の1つであるセラミドを配合したもの、あるいはセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸を含む角質細胞間脂質に近い組成の保湿薬も市販されています。
(例 セラミド配合:キュレル、コレステロール配合:ミノン、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸配合:ロコベースリペアクリーム)
薬物療法
(1)抗炎症外用薬
 保湿剤を中心としたスキンケアが大事ですがそれだけでは炎症が治まらないことも多く、そういう場合は現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静するための薬剤で、有効性と安全性が多くの臨床研究で検討されている外用薬は、ステロイド外用薬(5段階の強さがあり、皮膚症状の程度、部位、年齢に応じて使い分けます)、タクロリムス(商品名プロトピック)軟膏(カルシニューリン阻害外用薬)、デルゴシチニブ(商品名コレクチム)軟膏(JAK阻害外用薬)、ジファミラスト(商品名モイゼルト)軟膏(ホスホジエステラーゼ4阻害薬)があります。以前はステロイドやタクロリムス外用剤は痒み、赤みがある間だけ塗るリアクティブ療法という治療が主流でしたが、再発を繰り返すことが多く、一見治ったように見える部分も顕微鏡で見るとまだ炎症が残っていることが多いことがわかってきており、最近は再発を繰り返すような場所には症状がおさまっても週に2回程度抗炎症外用剤を塗布するなどのプロアクティブ療法がよく行われます。

ステロイド外用薬の使い方
皮疹の重症度、部位に応じて5段階の強さのステロイド外用薬を剤形も含めて選択します。
急性増悪の場合には1日2回(朝、夕:入浴後)を原則とします。炎症が落ち着いてきたら1日1回に外用薬を減らし、寛解導入を目指します。
外用量は、第2指の先端から第1関節部まで口径5mmのチューブから押し出された量(約0.5g)が成人の手2枚分すなわち成人の体表面積のおよそ2%に対する適量であることが示されています。しかし、外用量は皮膚の状態や外用薬の基剤の種類などにより変わります。ティッシュがくっつくぐらいたっぷり塗った方が効果的です。適切な薬でも使用量が少なくなかなか治らないということがよくあります。
ステロイド外用薬のランク表
ストロンゲスト(Ⅰ群)
クロベタゾールプロピオン酸エステル、ジフロラゾン酢酸エステル
ベリーストロング(Ⅱ群)
モメタゾンフランカルボン酸エステル、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、フルオシノニド、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ジフルプレドナート、アムシノニド、ジフルコルトロン吉草酸エステル、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン
ストロング(Ⅲ群)
デキサメサゾンプロピオン酸エステル、デプロドンプロピオン酸エステル、デキサメサゾン吉草酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル、フルオシノロンアセトニド
ミディアム(Ⅳ群)
プレドニゾロン吉草酸エステル酪酸エステル、トリアムシノロンアセトニド、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、デキサメサゾン
ウィーク(Ⅴ群)
プレドニゾロン

ヒトにおけるヒドロコルチゾンの部位別経皮吸収率
頭皮3.5、前頭6.0、下顎13.0、腋窩3.6、背面1.7、前腕外側1.1、前腕内側1.0、手掌0.83、陰嚢42.0、足首0.42、足底0.14

詳しくはこちら→ステロイド外用剤について
タクロリムス(商品名プロトピック)軟膏(カルシニューリン阻害外用薬)
ステロイドとはまったく異なった作用機序で炎症を抑えます。特に顔面・頸部の皮疹に対して高い適応のある薬剤です。びらん、潰瘍面には使用できません。16歳以上に使用可能な
0.1%軟膏と2~15歳の小児用の0.03%軟膏があります。0.1g(日本で発売されている5gチューブから1cm押し出した量)で10cm四方を外用する程度を目安とします。安全性を確保するため、日本では成人での0.1%軟膏1回使用量の上限は5gとされています。小児では体格に応じた設定をし、体重をもとに、0.03%軟膏の使用量は2~5歳(20kg未満)で1日1gまで、6~12歳(20kg~50kg)では2~4g、13歳以上(50kg以上)は5gまでとされています。しばしば塗布部位に一過性の灼熱感、ほてり感などの刺激症状が現れることがありますが、使用開始時に現れ、皮疹の改善に伴い消失することがおおいです。本剤の血中への移行が高まり、また刺激性が強まる可能性が考えられる部位や皮疹、すなわち粘膜、外陰部、びらん・潰瘍面には原則的には使用できません。密封法および重層法は本剤の血中への移行が高まる可能性があるので行いません。

デルゴシチニブ(商品名コレクチム)軟膏(JAK阻害外用薬)
種々のサイトカインのシグナル伝達に重要なヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で、JAKファミリーのキナーゼをすべて阻害し、免疫細胞の活性化を抑制します。6ヶ月以上の乳児から使用可能です。0.5%と0.25%の2種類の軟膏があります。過量投与すると経皮吸収量増加により全身性に影響を来す可能性があるため、成人では1日2騎亜、1回の投与量は5gまで、小児は1回の塗布量はたい5gまでとするが体格を考慮すること、塗布は体表面積の30%までを目安とすることなどの制限があります。また明らかなびらん面や粘膜への外用、密封療法や亜鉛華軟膏を伸ばしたリント布の貼付などは行わないようにします。

ジファミラスト(商品名モイゼルト)軟膏(ホスホジエステラーゼ4阻害薬)
ホスホジエステラーゼファミリーのうちホスホジエステラーゼ4に対して選択的な阻害作用を示す薬剤です。ホスホジエステラーゼ4は多くの免疫細胞に存在し、cAMPを特異的に分解する働きを持ちます。ホスホジエステラーゼ4を阻害することで炎症細胞や上皮細胞の細胞内cAMP濃度を高め、炎症性のサイトカインおよびケモカインの産生を制御することにより皮膚の炎症を抑制します。塗布量は、皮疹の面積0.1㎡あたり1gを目安とします。明らかなびらん面への塗布や、密封療法、亜鉛華軟膏を伸ばしたリント布の貼付などは経皮吸収が増加するため行いません。ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏、デルゴ七ニブ軟膏との併用による臨床的問題となる有害事象の増加の懸念性は少なく、これらの薬剤との併用は可能と判断されます。妊娠可能な女性には本剤投与中および投与終了後一定期間は適切な避妊を行い、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対しては使用しないことが望ましいとされています。3か月以上の乳児から使用可能です。0.3%と1%の2種類の軟膏があります。
タピナロフ(商品名ブイタマー)クリーム
2024年10月に発売された新薬です。芳香族炭化水素受容体を活性化することにより、さまざまな遺伝子に働きかけ、皮膚の炎症を抑制します。1日1回適量を患部に塗布します。
粘膜や皮膚の傷やただれがある部位を避けて使用します。副作用としてふきでもの、ニキビ、かぶれがあります。他に頭痛やアトピー性皮膚炎の悪化、色素沈着、刺激感などの「副作用が現れる場合があります。12歳以上の小児および成人に適応があります。
(2)抗ヒスタミン内服薬
また痒みが強いときは抗ヒスタミン剤の内服を補助的に行います。アトピー性皮膚炎の治療には鎮静性および非鎮静性ともに治療効果には差がみられないことから、非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬を選択します。具体的にはメキタジン、アゼラスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、エピナスチン塩酸塩、エバスチン、セチリジン塩酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、ロラタジン、レボセチリジン塩酸塩、デスロラタジン、ビラスチン、ルパタジンから選択します。
(3)シクロスポリン(免疫抑制剤内服薬)
シクロスポリン(商品名ネオーラル)は16歳以上で最重症の患者さんに限定して使用します。顔面の難治性紅斑や紅皮症などに有効で、投与後速やかに痒みが軽快することから、痒疹結節が多発し掻破の著しい方のQOLの改善に有効です。症状により適宜増減し、8~12週間で終了します。使用中は腎障害や高血圧、感染症などに注意し定期的に薬剤血中濃度を測定します。長期投与が必要な場合は2週間以上の休薬期間をはさむ間欠投与とします。
(4)ステロイド内服薬
経験的に有効ですが、長期間のステロイド内服には種々の重篤な全身性副作用があることから、ステロイド内服薬によってアトピー性皮膚炎を長期間コントロールする治療法は一般的に推奨されず、投与するとしても短期間にとどめるべきです。
(5)漢方薬
漢方薬はあくまで補助的な治療になります。
(6)JAK阻害内服薬
バリシチニブ(商品名オルミエント)、ウパダシチニブ(商品名リンヴォック)、アブロシチニブ(商品名サイバインコ)
免疫をつかさどる細胞の中にあるJAKという部分に結合して、痒みの原因となる炎症性サイトカインが過剰に作り出されるのを防ぎます。定期的に結核およびB型肝炎ウイルス感染関連の検査、好中球数、リンパ球数、ヘモグロビン値、トランスアミナーゼ値、腎機能検査値、脂質検査値などの測定が必要なため、治療ご希望で医学的に適応のある方は大学病院に紹介となります。
(7)生物学的製剤注射薬
デュピルマブ(商品名デュピクセント)、ネモリズマブ(商品名ミチーガ)、トラロキヌマブ(商品名アドトラーザ)、レブリキズマブ(商品名イブグリース)
デュピルマブは2018年に発売になったIL-4、IL13というサイトカインの働きを直接抑えることで、皮膚の2型炎症反応を抑制する新しいタイプのお薬です。6ヶ月以上の乳児から適応があります。重症度に応じて推奨されるステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬などによる適切な治療を直近6ヶ月以上行っても効果不十分な方が適応になります。効果は高いですが、既存の外用治療と併用する治療法であり、長期的に治療が必要になる場合が多いです。
ネモリズマブはアトピー性皮膚炎の炎症や痒みの原因となる物質のうち、IL-31(インターロイキン31)の働きをブロックすることによってアトピー性皮膚炎のかゆみを抑える薬です。ガイドラインで推奨されるステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬を4週間以上継続し、かつ抗ヒスタミン内服薬を2週間以上継続してもアトピー性皮膚炎の痒みがおさまらない方が適応になります。6歳以上に適応があります。
トラロキヌマブ、レブリキズマブはIL-13(インターロイキン13)の働きを抑えて皮膚の炎症反応をやわらげ、アトピー性皮膚炎のかゆみや湿疹を改善する薬です。デュピルマブと同様の適応条件があります。
(8)紫外線療法
当院では行っていませんが、適切な外用療法などを行っても軽快しない方や、他の治療法で副作用を生じている方に考慮される治療法に位置付けられています。なお、小児に対する長期の安全性に関する情報が不十分であるため、乾癬では、紫外線療法は10歳以上の小児に行ってもよい治療とされており、10歳未満への小児には勧められていません。

また、アロエ、温泉、馬油、椿油、はりなどを用いた様々な民間療法がありますが、医学的根拠に乏しくとてもひどくなってから皮膚科を受診する方もいるので、民間療法を始める前に皮膚科を受診することをお勧めします。また乳酸菌摂取などのプロバイオティクスに関してはまだアトピー性皮膚炎の予防、治療に実用化できる医学的根拠がありません。
 アトピー性皮膚炎の合併症
アレルギー疾患、皮膚感染症、眼科的疾患が挙げられます。乳児のアトピー性皮膚炎は自然に治ることも多く、治療でいい皮膚状態が保たれるとその可能性が上がると言われています。乳幼児期に湿疹がひどいと皮膚から食物やダニなどアレルギーの原因物質が吸収され、感作されると言われています。すなわち食物アレルギーなどの他のアレルギー疾患にならないようにするためにも湿疹病変の治療が大切になってきます。皮膚感染症としては伝染性膿痂疹、伝染性軟属腫、カポジ水痘様発疹症などがあり、適切な治療が大事になってきます。また白内障や網膜剥離などの重篤な眼合併症も重症なアトピー性皮膚炎には起こりうるため、目の周りの皮疹を適切に治療し、眼の症状については早めに眼科を受診する必要があります。
 アトピー性皮膚炎のよくあるご質問
Qステロイド外用薬は怖いと聞きますが、副作用の心配はありませんか。
A詳しくはこちら→ステロイド外用剤について