イボ

イボとは、ものの表面にできた突起物一般を意味する俗語で、専門用語としては疣贅(ゆうぜい)といいます。イボは顔面、指、胸、陰部、足の裏、首、肛門などいろいろな場所にできます。

主なイボだけでも

・尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
・扁平疣贅(扁平イボ)
・尖圭コンジローマ(外陰部や肛門部に生じる性病の一種)
・ボーエン様丘疹症
・水いぼ(伝染性軟属腫)
以上がウイルス性

他に
・アクロコルドン(首によくできるイボ)
・老人性疣贅(中高年の頭や顔や胸や背中などに多い加齢性のイボ)

が挙げられます。

またいぼのように見える皮膚病として魚の目(鶏眼)たこ(胼胝)が挙げられます。
ここではウイルス性イボの中でも一番ありふれた尋常性疣贅について解説します。
原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)で子宮頸癌などの原因にもなりますが、皮膚にできるイボとは型が違います。

感染経路ですが、ヒトからヒトへの直接的接触感染、器具などを介した間接的接触感染、掻破行為による自家接種などが考えられています。角層の損傷を伴う微小な傷があると感染しやすくなると言われています。
子供の手足や指趾によくでき、潜伏期間は1~6か月で、小丘疹として初発し、増大するとともにいぼ状に隆起して数mm~数cm大までになります。単発性のこともありますが多くは多発性であり、集簇融合して局面を形成することもあります。自覚症状はほとんどないです。
基本的には視診で診断され、検査をすることは通常の場合ありません。

治療としては液体窒素による凍結療法が標準的な治療です。液体窒素(-196.8℃)をスプレーか綿棒で病巣にあて、ウイルスに感染した細胞を壊死させます。1週間に1度の治療を繰り返します。
また漢方の一種であるヨクイニンエキス(ハトムギ種子抽出物)内服はイボに対する免疫力を上げます。溶解作用のあるサリチル酸ワセリン貼付も効果があります。
 他に表皮細胞の分化誘導作用、増殖抑制作用などを持つ活性型ビタミンD3外用密封療法やウイルス増殖の抑制、免疫賦活化によるウイルス感染細胞の障害により効果を示すイミキモド外用があります。また過去に冷凍凝固法で完治しなかったウイルス性のいぼの方などに確実性と即効性に優れた治療法としてブレオマイシン局所注射があります。

当院では基本的には行っていませんが、他に外科的切除や炭酸ガスレーザーなどによる焼灼、エトレチナート内服、H2受容体拮抗薬内服、モノクロル酢酸外用、グルタルアルデヒド(消毒液)外用などの治療法もあります。
自然に治ることもある良性疾患である一方、決定打となる治療法がないため反応を見ながらいろいろな治療法が駆使され、治癒までにある程度の時間を要することが多く、根気よく治療することが大切です。1つの治療法を3か月継続して無効の場合、通常続行しても有効になることは少なく、反応を見ながら適宜治療法を変更、追加する必要があります。経過中に炎症反応を生じて、自然治癒することがあります。

イボのウイルスは正常の健康な皮膚には感染できず、小さな傷などがあるとそこから感染してイボ(疣贅)をつくると考えられています。外傷を受けることの多い手足や肘膝、手荒れや髭剃りあとなどの肌荒れに対するスキンケア、アトピー性皮膚炎など基礎疾患の治療を通していぼのできにくい皮膚の環境づくりをすることが予防として大切です。

加齢性のイボ(脂漏性角化症)
良性のイボで、手の平、足の裏以外の全身に淡い褐色から黒色調、類円形のもりあがったできものとして見られます。別名老人性のイボとも言われ、一般的には40歳以降の、特に顔面や頭部などに生じることが多い腫瘍(できもの)です。
これ自体は皮膚がんになることはありませんが、皮膚がんと区別しにくいことがあり、そういう場合は組織検査を行います。
また整容的な改善や生活に支障があるなどで治療希望の方には、液体窒素による凍結療法、外科的切除、レーザーや高周波メスなどによる焼灼術により治療します。