爪水虫(爪白癬)

爪水虫は正式には爪白癬といいます。足白癬(一般にいう水虫)と同じ白癬菌という真菌(カビ)が原因で起こる感染症です。
白癬菌は、爪や皮膚にあるケラチンというタンパク質が大好物です。爪白癬は日本には1200万人ほど患者さんがいると推定されています。

  • 爪が白~黄色に濁っている。
  • 爪がもろくぼろぼろとかける。
  • 爪が厚くて靴が履きにくい。
  • 爪が切りにくい
    などの爪の変形の症状がある場合、爪水虫の可能性があります。爪水虫自体にはかゆみなどの自覚症状はないですが、長期に繰り返す水虫の原因になっている可能性があります。水虫の方の47%に爪の水虫があったとの報告もあります。症状のみである程度診断は可能ですが、確実ではありません。正しい診断をするためには、爪を少しとり、顕微鏡で観察して白癬菌を見つける必要があるので、皮膚科受診をおすすめします。

日本では標準的な爪白癬の病型分類は現在まだないですが、国際的には以下の英国皮膚科学会による爪真菌症の分類が受け入れられています。

  • 遠位側縁爪甲下爪真菌症
  • 表在性白色爪真菌症
  • 近位爪甲下爪真菌症
  • 全異栄養性爪真菌症

このうち爪表面だけが病変の表在性白色爪真菌症は病変部を削り、外用抗真菌剤をつけるだけでよくなります。しかし他の3病型の爪白癬は主に3つのいずれかの治療が必要となります。市販の抗真菌剤の塗り薬はこの場合は効かないです。酢などの民間療法も効かないのでやめましょう。

①ラミシール内服
一番効果が高いと考えられますが、通常半年間毎日内服する必要があります。
また、まれではありますが副作用として肝臓などに影響を認める方もいるため、当院では投与開始前から投与終了まで毎月血液検査を行っています。爪甲下に空洞を形成する例や縦に線状の混濁が生じた爪白癬には効果があまりない場合もあり、その場合は病変部を爪切りやドリルで除去する必要があります。

②イトリゾールパルス内服
1週間くすりを飲んだ後に3週間薬を飲まないこと(1サイクル)を3回繰り返す方法です。ラミシールと比べて短期間(3ケ月)で治療が終了します。やはり、まれではありますが副作用として肝臓などに影響を認める方もいるため、当院では投与開始前から投与終了まで毎月血液検査を行っています。また一緒に内服できない薬が多いため、注意が必要です。爪甲下に空洞を形成する例や縦に線状の混濁が生じた爪白癬には効果があまりない場合もあり、その場合は病変部を爪切りやドリルで除去する必要があります。

③クレナフィン爪外用液
2014年9月に日本で発売した新しい外用抗真菌薬(液体)です。1日1回爪白癬にかかった爪全体に対して専用のハケで塗ります。症状にもよりますが1年程度塗布します。爪白癬に保険適応があります。
従来の外用抗真菌薬は爪に外用しても爪の奥にまで浸透せず、通常の爪白癬にはあまり効果がなかったのですが、クレナフィンは、抗真菌活性が高いだけでなくさらさらした液状の剤型で爪への浸透性が高いのが特徴です。内服に比べると効果は落ちると考えられていますが、内服治療が効きにくい爪甲下に空洞を形成する例や縦に線状の混濁が生じた爪白癬にも治療効果を発揮できると期待されています。

④ルコナック爪外用液
2016年4月に日本で発売した新しい外用抗真菌薬(液体)です。1日1回1日1回爪白癬にかかった爪全体に対して塗ります。症状にもよりますが1年程度塗布します。爪白癬に保険適応があります。クレナフィンと比較したデータはありませんが効果はほぼ同等かやや落ちる可能性があります。クレナフィンの6割くらいの薬価と安いのが特長です。

また爪白癬の悪化防止や予防としては下記が挙げられます。

  • 感染源を避ける
    (水虫の患者さんの履物、お風呂場のマットなどは共有しないようにしましょう)
  • 清潔に
    (石鹸を使い、指の間もよく洗いましょう、消毒は必要ないです)
  • 乾燥させる
    (足の指の間の水分や汗をよくふき取り乾燥させるようつとめましょう)
  • 通気をよく
    (通気性のよい履物や吸湿性の良い靴下にしましょう、5本指の靴下がおすすめです)
  • ジムなどでシャワーを浴びたら家に帰ってもう1度足だけ洗いましょう。