毛孔性苔癬(毛孔性角化症)

二の腕のぶつぶつが気になると受診される方が多いです。
毛孔一致性の角化性丘疹が上腕外側・後面や大腿伸側に多発する病気です。発症頻度が高く日常診療でしばしば遭遇します。30~50%の患者さんが家族歴を有し、常染色体優性で浸透率が比較的低い遺伝性疾患と考えられています。病因遺伝子は特定されていません。尋常性魚鱗癬などドライスキンをきたす疾患に比較的高頻度に合併し、アトピー性皮膚炎を合併することもあります。小児期に発症し思春期に目立つようになりますが、青年期以降は多くの患者さんが軽快傾向を示します。女性の発症頻度が高く、思春期から青年期に整容的な問題で受診することが多いです。症状の季節変動が時に見られ、夏に軽快し冬季のドライスキンが症状を悪化させることもあります。予後良好ですが、生涯にわたり増悪軽快を繰り返したり、広範囲に皮疹が出現したりする場合があります。
治療ですが角化症状には角質軟化剤(サリチル酸ワセリン、尿素含有軟膏)を使用します。無効の場合ODT(密封療法)を試みます。ビタミンA外用薬(ザーネ軟膏、ユベラ軟膏)は効果が低いです。毛孔の角化抑制効果が高いビタミンA誘導体(アダパレン、トレチノイン)や活性型ビタミンD3の外用薬も試みられます。保湿剤は自覚症状を若干改善させます。有効かつ安全な内服治療薬はありません。角化にケミカルピーリングやマイクロダーモアブレーション(当院では施行していません)なども用いられます。