アトピー性皮膚炎の方のためのスキンケア

◾️アトピー性皮膚炎の特徴
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみと発疹が繰り返しあらわれる皮膚の病気です。発疹は、顔や首、肘、膝などにあらわれやすく、ひどくなると全身に広がります。

  • 乳児期--
    一般的に、乳児の症状は、頭や顔からはじまります。
    なお、乳児期の食物アレルギーでは、顔や全身にみみず腫れのような赤みとかゆみがあらわれますが、アトピー性皮膚炎とは別々に治療する必要があります。まずは、皮膚科専門医に相談しましょう。
  • 幼小児期--
    幼小児期には、肘や膝など手足の関節部分にアトピー性皮膚炎が多くみられます。また、耳切れとよばれる、耳の付け根のくぼみに発疹があらわれ、"あかぎれ"のような症状もみられます。
  • 思春期・成人期--
    下半身よりも上半身で発疹がよくみられ、顔、首から胸にかけて、背中などに発疹が強く出る傾向があります。繰り返し掻くことにより、皮膚がゴワゴワと厚くなります。これは苔癬化と呼ばれます。
    また、同じ部分をずっと掻いていると、皮膚が硬く盛り上がり、かゆみが持続するようになります。これは痒疹と呼ばれます。

◾️アトピー性皮膚炎の皮膚の状態
アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、バリア機能が弱まり、水分が外へ出てしまっているため、乾燥しています。乾燥した皮膚は、外部からの刺激物質が侵入しやすくなっています。
乾燥した皮膚は、外部からの刺激物質が侵入しやすくなっています。
皮膚が乾燥していると、外部からの刺激を受け、かゆみを感じます。そこで掻いてしまうと、新たな傷が生じたり傷口が悪化して、皮膚の状態がさらに悪化してしまいます。

正しいスキンケアの方法☝︎ ~入浴

①泡立てる
体を洗うときは、石鹸をしっかりと泡立てることが大切です。
石鹸の種類は、皮脂をとりすぎず、適度な潤いを残すタイプがおすすめです。
②洗う
体を軽く濡らしたあと、泡を使って指の腹でしっかりと洗いましょう。
関節部のシワをのばすように洗います。また膝の裏と表をよく洗います。
③流す
洗った後は、ぬるめのお湯で十分にすすぎ、しっかりと汚れと石鹸を洗い流しましょう。
石鹸が皮膚に残っていると、刺激になることがあります。
④つかる
体が温まるとかゆみが起きやすくなるため、長時間お風呂に浸かることや、高温のお風呂に浸かることは避けましょう。
保湿成分が入った入浴剤を使用すると、手が届きにくい背中のスキンケアや、じっとしていられないお子さんのスキンケアが簡単にできます。
⑤拭く
体を拭くときは、タオルで体を包み込みおさえるようにします。擦らずに優しく拭くことが大切です。

正しいスキンケアの方法☝︎ ~保湿

入浴後、5分以内に保湿剤を塗りましょう。
アトピー性皮膚炎の症状があるときはもちろん、症状がないときでも、日常的に保湿することが大切です。
入浴後5分を過ぎた場合には、霧吹きやガーゼで皮膚を湿らせたり、化粧水をつけた上で塗ると良いでしょう。
⚠️発疹が出ている場合は皮膚科を受診し、保湿剤の使用については医師の指示に従いましょう。
とくに指示がなければ、保湿剤を周囲の乾燥している部分にやや広めに塗り、その後で薬を塗ります。

日常で気をつけること
・乾燥がかゆみの原因となるため、保湿剤を多めに塗ったり、保湿剤を携帯し塗る回数を増やすことで、皮膚の潤いを保ち、かゆみを和らげることができます。
・ほてりもかゆみの原因になります。かゆみのある部分に水をかけたり、保冷剤を当てて冷やすことも効果的です。
・暑い時期や運動をした後などは、できるだけ早くシャワーや水で汗を洗い流し、皮膚を清潔に保つことが大切です。このような時には、入浴の回数を増やしましょう。ただし、石鹸の使用は、1日1回までにしましょう。
・布団は羽毛や羊毛の綿ではなく、ダニがつかないポリエステル綿がおすすめです。できれば、布団に掃除機をかけ、半年に一度は丸洗いをしましょう。

気になることや分からないことは、まず皮膚科専門医に相談してみましょう。

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