ほくろ

誰にでもあるものと思いますが、よく癌ではないかと心配されて皮膚科を受診される方が多いです。医学的には単純黒子、母斑細胞母斑などと呼ばれます。
先天性(生まれつき)と後天性(3~4歳ごろから次第に増えてくる)があり加齢とともに増えていきます。黒褐色斑から半球状に隆起した病変です。
原因としてメラニンを作るメラノサイトの分化、増殖の異常が考えられています。また後天性の場合、紫外線の影響が考えられています。
ほくろは頭部、顔(頬、顎、鼻、眼瞼など)、耳、首、体、手足(指、手のひら、足の裏、足の爪など)の他に粘膜部(目、口、亀頭など性器)にもできます。

ほくろの分類ですが、大きさや組織型などさまざまな分類があり複雑なためここでは割愛させていただきます。
ほくろに似たものとして悪性黒色腫という悪性腫瘍があります。人口10万人当たりの年間発生頻度は1~2人と言われています。悪性黒色腫はリンパ節や他の場所に転移しやすく、進行すると命にかかわる疾患です。従って、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が重要で、ダーモスコピー(特殊な拡大鏡)所見が大事になってきます。特に足の裏は悪性黒色腫ができやすく、ダーモスコピーで悪性が疑われたり、明らかな良性所見でない場合は生検や経過観察が必要になります。また足の裏は内出血にもなりやすくダーモスコピーで鑑別できます。

治療としては除去手術となります。
当クリニックでは主に下記の治療を行っています。

  • メス刃などによる切除
    局所麻酔下にメス刃で紡錘形に切り取り切除し、止血後に真皮縫 合、皮膚縫合を行います。小さいものはトレパンという円筒状のものでくり抜き、皮膚縫合を行います。顔などは術後の整容面を考慮し皮膚縫合を行わない場合もあります。翌日止血されているかなどの確認、1週間後抜糸、2週間後組織検査の結果の説明のため受診していただきます。保険治療となります。
  • 高周波メスによる焼灼
    局所麻酔下に高周波メスで患部を焼灼します。メス刃と違い患部 だけを焼灼でき縫い痕が残らないという利点がありますが、自費の治療となります。詳しくは高周波メスによるほくろ・いぼ除去の項をご参考ください。

Q&A

①手術費用(治療代)はどのくらいかかりますか?

  • 大きさ、部位によって値段は異なります。
    • メス刃などによる切除
      (露出部=顔、前腕など半そで、半ズボンで露出されるところ、2cm未満)
      3割負担の方で8500円程度(施術、組織検査、院外処方せんなどすべて含みます)
    • メス刃などによる切除
      (露出部外=背中、二の腕など半そで、半ズボンで隠れるところ、3cm未満)
      3割負担の方で7300円程度(施術、組織検査、院外処方せんなどすべて含みます)
    • 高周波メスによる焼灼
      6mm以下の場合は1か所12000円、6mm以上の場合は1か所長径mm×2000円となり
      ます。またゲンタシン軟膏が1本500円となります。

②受診後すぐに治療は可能ですか?

  • 当院では、ほくろに対する上記施術ご希望の方は、一度受診していただき後日の予約をとっていただく形を取っており、受診当日には施術できません。

③術後どういうことに気をつければいいでしょうか?

  • 当日はシャワー、飲酒、運動は控えてください。局所麻酔なので飲食は可能です。