白斑

色素脱失症は先天性(うまれつき)も含めると数多くあります。2013年はロドデノール含有化粧品による色素脱失で大きな問題になりました。
尋常性白斑は色素脱失症の中でも約60%を占める一番頻度の高い疾患です。罹患率は人口の0.5%~1%と言われています。皮膚の色がまだらに薄くなり、やがて白いシミのようになって気づきます。通称しろなまずと呼ばれます。乳幼児から高齢者まで見られ、形や大きさが様々で、境界がはっきりしていて、辺縁の色が濃いことが特徴です。
他の特徴として

  • 全身どこにでもできます。
  • 人にうつりません。
  • 痛みや痒みなどの症状はありません。
  • 生まれつきの病気でもありません。
  • 命にかかわるようなものでもありません。
  • 目立つ場所にできると美容的に悩む人が多いと思います。

白斑の大きさや形などから、尋常性白斑は3つのタイプに分類されます

  • 限局型:狭い範囲にひとつ、あるいは数個の白斑がある程度のもの
  • 汎発型:顔や全身のいたるところに左右対称に多発したり、くっついて大きな白斑を作るもの。できやすい場所は、刺激の加わりやすい顔、くび、腹、腰、わき、股、うで、あし、指
  • 分節型:左右いずれかの神経にそって白斑ができるもの

尋常性白斑は、メラニン色素を作るメラノサイトが少なくなったり失われたり(破壊されて)して、皮膚の色が白く抜け落ちる病気です。
白斑ができる他の皮膚の病気として

  • 感染症(癜風、梅毒など)
  • サットン現象、サットン母斑
  • 結節性硬化症
  • 脱色素性母斑
  • 単純性粃糠疹
  • 老人性白斑
  • Vogt小柳原田病
  • 炎症後色素脱失

などがあり、白斑の種類を見分けるのは難しく、皮膚科専門医の受診が必要です。

尋常性白斑には甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症などの合併が数%見られるため、甲状腺機能検査、また糖尿病、貧血、自己免疫疾患などが合併することもあるので、必要に応じて様々な血液検査を行います。

治療としては
1.ステロイド外用、活性型ビタミンD3外用、タクロリムス外用
2.光線療法(ナローバンドUVB、PUVA)
3.皮膚移植(1ミリミニグラフト、サクションブリスター)
以上の3つが基本的な治療法となりますが、年齢、性別、病変範囲・部位、罹病期間、治療歴、露光部の病変の有無、職業などの個々の症例の状況に合わせた、いわばオーダーメイドな医療が必要なことが多く、また合併症がある場合にはその治療も行う必要があります。

1.ステロイド外用、活性型ビタミンD3外用、タクロリムス外用

ステロイド外用はまず試してみるべき治療ですが、長く外用すると毛細血管拡張、皮膚委縮、にきびなどの副作用が起きるため、数か月外用しても効果の見られない時は中止します。活性型ビタミンD3外用は単独では効果が弱く、光線療法と併用することを考慮してもいいと白斑治療ガイドラインではなっています。
タクロリムス軟膏は治療効果が高い可能性がありますが、長期安全は不明であり、3~4か月をめどに効果判定を行うことを推奨されています。

2.光線療法(ナローバンドUVB、PUVA)

当院ではナローバンドUVBを採用しています。
狭い範囲の波長(311~312nm)のB波(日焼けを起こす紫外線)を患部に照射する方法で、PUVAと違い紫外線増強物質を使う必要がないので、治療後に日光を浴びてもやけどの危険がなく、顔や手などどの部位にも照射することも可能です。
尋常性白斑の場合週に1~2回、数分間ナローバンドUVBの照射を受けます。少なくとも30回で色素沈着が起こるか判断して、普通は100回くらい、治療を繰り返すことになります。1回1回は紫外線を浴びるだけの簡単な治療ですが、長い期間、通院する必要があります。顔では7割、体で5割程度の色素沈着が得られます。

詳しくはこちら→光線療法

3.皮膚移植(1ミリミニグラフト、サクションブリスター)

以上の治療で効果が得られない場合皮膚移植を考慮します。当院では行っていないので専門病院に紹介となります。
白斑病変が全身におよび大半が脱色してしまった進行型白斑では、色素沈着を期待することは難しく、希望があれば、残った色素を脱色する治療があります。
また化粧品として、パーフェクトカバー(資生堂)やカバーマークなどのメーキャップ製品の使用、あるいは角質層を着色するジハイドロキシアセトン(商品名ダドレス)などで露出部の白斑部を隠す方法があります。