水虫(足白癬)

日本には2500万人の水虫患者さんがいるといわれています。特に高齢者の方はかなりの確率で水虫を持っていると思われます。毎年特に暑くなってくると足が痒くなるのが長期に続いている方も多いと思います。
水虫という名前が初めて文献に登場したのは江戸時代のことです。田んぼ仕事をする季節になると足にボツボツとした水疱ができ、これがムズムズして非常に痒い。カビが悪さをしているとは思いもせず、水の中にいる正体不明の虫に刺されたと思い込んでいたようです。これが水虫という名前の由来です。
水虫(足白癬)は皮膚糸状菌という皮膚を栄養とするカビによる感染症です。白癬菌は足だけでなく手、頭、股部、体などにも感染します。水虫は高温多湿なところが大好きなため、靴を履いている時間が長い人、なかでも汗かきで、足の指が太く、指と指のすきまがあいていない人は特に注意が必要です。女性の患者さんも多いです。

足白癬は
 ①趾間型
 ②小水疱型
 ③角質増殖型
 の3型に分けられます。

①の趾間型は最も多いタイプで、足趾の間に紅斑(赤い斑点)や小水疱(小さい水ぶくれ)として始まり、鱗屑(かさかさ)を形成します。汗などで白く浸軟(じくじく)し、びらん(浅いきず)を形成することもあります。痒みが強いです。

②の小水疱型は土踏まず、足趾基部、足縁に小水疱がよくできて、乾燥して鱗屑(かさかさ)を認めてきます。

③の角質増殖型は足底や踵によくできて全体の皮膚が硬くなったり、皮膚表面がざらざらしてきます。切れたりすると痛くなってきます。

足白癬の診断には顕微鏡検査による白癬菌の検出が不可欠です。似たような皮膚症状の湿疹など他の皮膚疾患があるためです。ただ、市販の抗真菌剤を塗っていると菌が出ないことがあるため、自己判断はせず早めに皮膚科への受診をお勧めします。足がかゆくて皮膚がむけてくるいわゆる自称水虫の方の4割は水虫ではないと言われています。爪まで進行すると治るのに時間がかかるため早めの治療が大切です。
趾間型、小水疱型に関しては抗真菌剤外用で良くなりますが、角質増殖型に関しては抗真菌剤外用があまり効かず、抗真菌剤の内服が必要になります。薬は足全体に塗り最低2か月は毎日入浴後外用を続けることが大事です。また2次感染を起こしたら抗生剤の内服や外用が必要になります。

水虫には古くから酢を塗れば治る、煙草の吸殻を使うとかゆみが消えるなど様々な民間療法が伝えられていますが、現在はいい薬がそろっており皮膚科での治療が一番効果が高いと断言できます。

感染経路ですが、水虫の人がいると風呂場の足ふきマットに高確率に水虫がいます。そのため家族に水虫の方がいれば、マットを他の家族と分けて使用します。またスポーツジムなどでシャワーを浴びた後はもう一度家に帰って足浴をするなど予防が大切となります。水虫の方が履いていたスリッパを素足で履くと感染したりするので注意が必要です。

生活習慣として大事なことは、靴下は通気性のよいものとし、なるべく靴を履く時間を短くします。5本ゆびの靴下がおすすめです。また風呂場の足ふきマットはこまめに洗濯しお日様に干します。畳や絨毯などをよく掃除することも大切です。